第四話:『クリスマスの夜、胸元に輝く君からのプレゼント ― 彼の視点 ―』

今日こそは早く帰ろうと思っていたのに、会議が長引いてしまった。

時計を見るたびに、ため息がこぼれる。

——間に合うかな。彼女、もう着いてるだろうか。

 

ようやくオフィスを出て、冷たい風の中を歩く。

街じゅうがイルミネーションの光に包まれていた。

ネクタイを少し緩めながら駅へ向かう途中、

ショーウィンドウの中で恋人たちが笑い合っているのが見える。

こんな夜に会えるのは、奇跡みたいなものだと思う。

 

待ち合わせのカフェに着くと、

窓辺の席に、彼女がいた。

コーヒーを手に、外の光を眺めている。

その姿を見た瞬間、胸の奥が少し軽くなった。


「ほんっとうにごめん」

息を整える間もなく頭を下げると、

彼女は笑って「メリークリスマス」と言いながら

白い箱を差し出した。

 

ブルーのリボンが街の光を受けて、ほんの少しきらめく。

箱を開けると、シルバーのネクタイピン。

シンプルで、それでいて少しだけ光を集めるようなデザイン。

 

「あなたが頑張ってるの、いつも応援しているよ。」

彼女の言葉に、思わず息をのんだ。

 

ピンを手に取り、そっと裏を見た。

そこには小さく、

――”For your blight days.”

と刻まれていた。

 

その瞬間、胸の奥に静かに灯りが灯った気がした。

いつの間にか冷えていた心が、ゆっくりと温まっていく。

寒さも慌ただしさも、一瞬で遠のいていくようだった。

 


ネクタイピンを胸元に留めると、

街の光が反射して、

彼女の瞳がふわりと輝いた。

 

忙しい日々の中で、クリスマスの夜を共にできること。

そして彼女が僕のためにネクタイピンを選んでくれたこと。

そのひとつひとつが

何よりも嬉しくて、心が満たされていった。

これが、この冬いちばんの贈り物だった。

 

――この夜のきらめきも、

彼女の笑顔も、きっと忘れない。

 

日々を大切に生きるすべての人の胸元に、ほんの少しの誇りと遊び心を。

”Tie your moment." URBAN TIEの想いを結ぶ、冬のギフト

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