第五話:『クリスマスの夜、胸元に輝くプレゼント― 彼女の視点 ―』

オフィスを出た瞬間、頬に当たる風が冷たくて、

ああ、冬だなと思った。

街はすっかりクリスマスの光に染まり、

イルミネーションが通りを照らしている。

 

 

 


今年は本当に忙しかった。

お互い、仕事の山を越える日々。

それでも「クリスマスだけは会おう」と決めた。

たった数時間でもいい、顔を見て言いたかったのだ。

――おつかれさま、と。


カフェの席に座り、手の中の白い箱を見つめる。

ブルーのリボンを選んだのは、

彼がいつも身につけているネクタイの色に似ていたから。

シルバーのネクタイピンを選んだのは、

どんな日も前を向く彼に似合うと思ったから。

 

ガラス越しに外を眺めていると、

人の波の向こうから彼が見えた。

少し息を切らして、それでも笑いながら手を振ってくる。

その姿を見た瞬間、心の奥がじんと温かくなった。


「メリークリスマス」

そう言って箱を渡すと、

彼は驚いたように笑って、

ゆっくりとリボンをほどいた。


街の光が、彼の胸元に留められたネクタイピンに反射して

ほんの一瞬、雪のようにきらめいた。


「あなたの頑張る姿、ちゃんと見てるから」

口にした瞬間、胸の奥が少し熱くなる。


彼が「ありがとう」と微笑んだとき、

街のざわめきが遠くに消えていくようだった。


――この夜の光も、この笑顔も、

ずっと忘れたくない。


忙しい日々の中で、

また明日から頑張れる理由を、

今日ここで受け取った気がした。

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